平成29年度卒業証書授与式 校長式辞

校長先生

 2月の末になり、ようやく寒さが緩み伊太地区特産の梅と早咲きの桜が、里山の緑に鮮やかな彩りを添えるかの如く咲き始め、目や耳に春の訪れをはっきりと感じるようになりました。この春の息吹の中で、卒業生と保護者の皆様に加え、御来賓の皆様と在校生全員が列席し、学校を挙げて平成29年度卒業式を盛大に挙行できますことは大きな喜びであります。
 ただいま207人の生徒の皆さんに卒業証書を授与いたしました。本校での教育課程を無事修了されました卒業生の皆さん、本当におめでとうございます。
 本校での3年間を振り返ってみますと、一人一人の生徒の皆さんの授業、学校行事、部活動等への取り組みを通じて、207通りの喜怒哀楽に満ちた多彩な思い出が蘇えってくると思います。
 学校全体で振り返ってみますと3年間のうちには幾つかの大きな話題がありました。
 学力向上のための授業時間数の量的な確保を目指し、一昨年の4月から全校で月2回程度の土曜日に3時間の授業を行い、特別進学クラスは、月4回程度ほぼ毎週土曜日に授業を実施してきました。年間では、総合コースで公立高校よりも10日以上、特別進学コースでは30日以上多く授業日を確保し順調に取り組むことができました。
 また、来年度からの男女共学化に備えた校内の改修工事が進む中、卒業生の皆さんはオープンスクール、樟風祭をはじめとしていろいろな場面で共学化に向けての準備に積極的に取り組んでくれました。昭和47年3月の卒業式以来46年間続いてきた男子だけの卒業式は、今年が最後となりました。本校92年の歴史のちょうど半分を占める男子生徒だけの歴史が転換する大きな節目の時期を皆さんが支えてくれました。中学校卒業生が毎年急速に減少し、多くの学校が規模を縮小していく中で、本校は来年度、210人前後の男子生徒と50人弱の女子生徒を新たに迎えることが見込まれています。例年よりも50人近く新入生が増え、制服も一新し学校の雰囲気が大きく変わっていくことと思います。
 部活動においても陸上競技部、自転車競技部、バレーボール部、卓球部が東海大会など県を超えた大会に出場したことを始めとして、いくつか特筆することがありました。このことも学校の活性化に大きく寄与してくれたと思います。
 卒業を迎えた207人の生徒の皆さんには、日常性の中に漫然と身を委ねることなく、是非、将来への夢、それを叶えるための目標をしっかり持って、強く生き抜いていただきたい。将来への夢や目標が長き人生の苦難を乗り切る力を生み出してくれるでしょう。そして、その夢や目標が地域や社会の発展に少しでも寄与できるものならば、なお素晴らしいでしょう。夢の実現に向けて必死に努力することで地域や社会を支える掛け替えのない存在となることを強く願っています。
 もう一つの願いは、これからの仕事への皆さんの取り組み方についてです。これまでにもお話ししましたが、海外の研究者の「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」という発言や、「今後10~20年程度で、米国の総雇用者の約47%の仕事が自動化される(機械に取って代わられる)リスクが高い」との話、日本の研究施設からも、「国内で働く人の約半数の就く仕事が10~20年後に人工知能やロボットに置き換えられる」との推計が発表されています。こうした研究から、私たちが今当たり前だと思っている職業の多くが今後なくなっていく可能性が極めて高いと考えられます。これからの長い人生を生き抜くためには、人工知能に取って代わられることのない仕事に関わる能力を十分見極め、意識して自ら鍛えていってください。東ロボ君の研究で有名な国立情報学研究所の新井紀子教授によれば、「数式化できないものは人工知能に取って代わられることはない」とのことで、努力すべき方向性が示唆されています。
 昨年度の卒業式でも申し上げましたが、私の本校に関わる目標は、今後、公立か私立かを問わず厳しくその在り様を問われる中でも、立ち位置を明確にして卒業生の皆さんがいつでも立ち寄ることのできる母校として、存立し続ける学校を創ることです。20年後、30年後には、さらに発展した島田樟誠高校を皆さんにお示しできる準備を今進めることが私の責務と理解しています。来年度からの男女共学化は、本校が静岡県の中部地区において確固たる立場を獲得していくための大きな対策の一つです。目標を実現するための基礎づくりです。私は、教職員の皆さと一緒になって、この目標達成に全力を尽くしたいと心に決めています。卒業生の皆さんの各方面からのお力添えをお願いします。
 卒業生の保護者の皆様、お子様の御卒業、誠におめでとうございます。これまで学校に賜りました御理解と御協力に深く感謝申し上げますとともに、お子様の母校としての本校に対し、これからも変わらぬ御支援をいただけますようお願い申し上げます。
 最後に、御多忙のところ御臨席を賜り本日の卒業式を盛り上げ、激励してくださいました御来賓の皆様、本当にありがとうございました。本校の発展のために今まで以上に御指導と御鞭撻をいただけますようお願い申し上げます。
 新しい人生の旅立ちに当たり、卒業生の皆さんの今後の活躍をお祈りし式辞といたします。卒業生の皆さん、式の最後に、在校生の皆さんとともに校歌を高らかに歌い上げお別れとしましょう。お体に気をつけて頑張ってください。 
 平成30年3月1日  校長 吉永清貴